Astra Space, Inc (ティッカーシンボル $ASTR)の株価がここ1週間で急上昇しました
同社は2021/7/1にSPAC上場した企業でして
宇宙へのロケット打ち上げを専門に行っている会社です
CEOであるChris Kempの考えがかなりスマートでして
(-3Dプリンタはニュース用で、実用に耐えない
-やろうとしていることは面白みのない事業
-車のように淡々とロケットを生産するだけ)
その意味で少し注目している企業でもあります
(ただ2021年になって小型衛星打ち上げは業界として下火になってきていますね)
こちらがChrisです。かっこいいですね
ITスタートアップの起業から始まり
NASAでオープンソースのクラウド基盤構築のためのフリーソフトウェアを開発し
ネビュラ(Nebula)というITスタートアップを立ち上げ、2015年にオラクルにBuyOut、そこからAstra立ち上げ、、、
といった業績を持っています
さて、そのAstraが以下のような発表をしていました
-8/27 13:00(太平洋時間)から9/11にかけてアメリカ宇宙軍向けの複数打ち上げを行う
-今年の後半に行われる予定である2回目の打ち上げに向けた契約中
アメリカ宇宙軍、聴き慣れない団体かもしれませんが米国の軍隊の一部です
米国国防総省(ペンタゴン)配下に存在する軍隊、陸軍や空軍などと同じように
宇宙軍が存在しています。紋章は以下です。
主に部隊としましては
-宇宙領域の観測を担当する部隊
-衛星通信を担当する部隊
-ミサイル攻撃に対する警戒を担当する部隊などがあります
彼らは防衛のために
Astraのロケットで衛星を打ち上げて
上記の分野に役立てるのだろうと想定します
株価は急上昇
株価はこれを受けて好反応
この5日間で+30%近い上昇を果たしました
ただ、1ヶ月単位で見ると依然マイナスです
SPAC上場後しばらくは好調だったのですが
7/12にヴァージンギャラクティック($SPCE)の打ち上げ成功がありまして
宇宙関連で株価はさらに上がるか?といった希望は裏腹に
$SPCEによるアットザマーケットオファリングが行われ
$SPCEの株価は急転直下。激しく売り飛ばされました
以下が1ヶ月の推移ですが
一連のSPCEのやりかたはは正直に言って投資家を馬鹿にしている働きだと思っています
そしてその煽りを他の宇宙銘柄も須く受けて
さらにSPAC・ハイテクグロースの不調シーズンが7月中盤にあるのも重なり
$8を切るような事態になっていましたね
それがようやく$10.7まで回復です
もともと期待としましては決して低くない企業なので
$8近くなら下げ過ぎ、買い増し可能のイメージでした
(まだろくに売上がない企業なので注意はありますが)
事業計画書に沿って進行中
Astraの事業計画書はこちらから確認できます
今回の受注もこの事業計画書に記載の内容でして
今のところ順調に計画が進んでいることがわかります
(本計画書を発表した時にはすでに受注間近だったと思いますが)
以下がその資料の一部でして、Commercial Launch Operations の箇所です
来年には月毎の打ち上げと言っていますが、果たして可能でしょうかね
一般的にこのようなSPACの資料は夢を語るためのものでして
多くの企業はこの計画から外れて(遅れて)いきます
まあ、それは想像できることではありますが
もし遅れた場合にはどのようにリカバリーをしていくかを説明するか、どうかで
投資家への態度がわかるかなと思います
説明しない企業は$SPCEのように良いニュースの後にATM(アットザマーケットオファリング)をしたりして
投資家が持っている株の値なんて気にしない行為をしていくわけですね
逆に説明するような企業は株主還元を意識している企業なので
好調時の自社株買い等を行って株価を上げることを意識する企業です
決算の数字は気にしない
2021/8/12にSPAC上場後1回目の決算が発表予定です
先述のようにまだ初めての受注が決まった段階で
企業としては大赤字の状態なので、数字を見て判断がしにくい状態です
未来への投資として、入るべきかを判断するには
上述の事業計画書に沿って受注ができているか・打ち上げができているか
といった点だと思います
今後注視すべき箇所は
1. アメリカ宇宙軍用の打ち上げが計画通りに成功するか
2. 工場の増築が2021中に終わるのか
3. (新規受注と打ち上げがあるのか)
4. (打ち上げテストが成功しているのか)
かと思います
なんと言っても1ですね
Nasdaq上場後一発目の大きな・そして初めての仕事なので
Astra側も気合が入っていることかと感じます
もしここで延期したり失敗をしたら企業としての評判はガタ落ちで
大きく株価はダメージを受けることでしょう
成功すれば、Astraとして初めての商業打ち上げ成功として大きく宣伝をして
注目を集めることかなと思います
(Astraはこのような宣伝が上手ですからね)
もし興味があるならこの打ち上げの後に
購入するかを検討しても良いのかなと感じます
打ち上げは9/11まで行われるとのことです
ここで大失敗する可能性も十分にあるので
今から焦って入る必要はないかなと考えます
また、このSPAC宇宙銘柄はかなり浮き沈みが激しいことが
$SPCEから予測されます
つまりたとえ打ち上げが成功しても
他社のニュースや時勢によって大きく売られることが容易に想像できる銘柄です
例えばロケットラボ($VACQ)が小型ロケットも毎日打ち上げる!など発表した際には
$ASTRの株価は大きく下がるでしょう
小型ロケットの雄は今でもロケットラボです。Astraではありません
(そういえば、ロケットラボのSPAC上場は8/20になりそうですね)
アメリカ宇宙軍との契約前の株価$8のような事態はいずれまた来ると考えられます
その時まで気を長く待っても全く問題ないのかなと思います
もっと上手い人は、8月の打ち上げ成功ニュースで一度ポジション払って
9,10月に下がったら買い直して
年末の打ち上げ成功で再び買い直す
みたいなことができるかもしれません
くれぐれも、このようなSPAC企業に全力投球はせずに
無くしても良いような金額を投資するのが正解ですね
まずは8月から9月の打ち上げを楽しみにしたいと思います