アストラ・スペース に関して上場廃止の話が具体化してきました
同社のティッカーシンボルはASTRでして、Nasdaqに上場しています
宇宙へのロケット打ち上げというロマン
優秀に見える若きChris KempというCEO
堅実に見えるプランとその宣伝口調
などなどあって日本でも大いに話題になり一部熱狂的な人気が出ました
私自身も期待しており、宇宙SPAC特集記事書いたりしてました。
ワクワクの日々が懐かしくも遠いですね
この銘柄はSPAC銘柄でして、いわゆる裏口上場を行った企業です
もともとのティッカーシンボルはHOLで$10の価格でした
ティッカーシンボルがASTRになったのは2021年7月1日でして
De-SPACした時から鬼の買いが入り、当時の投資界隈でも
5年後に10倍になるから鬼ホールド!のような人が多かったです
7/2にはASTRになってからの最高値である$15をつけて圧倒的な人気を誇った後
今日まで一年以上の株価下落が続いています
現在の株価は79¢となりASTRになってからの最高値からは-94%という数字です
他クソSPAC銘柄のWISHやRIDEよりも酷い数字となっております
これら二つはまだ1$以上は保っていますからね
これだけ株価が落ちた原因としましては以下が挙げられます
1. 利下げを開始する目処がない地合いの悪さ
2. $RKLBと比べて決算の数字が極めて悪い。キャッシュが手元にない
3. 2023年でも打ち上げ再開できるかわからない
1に関しては繰り返し述べているので今更触れはしません
2に関しまして、このままの損失ペースだとあっという間に破産が考えられます
今回の損失が$53M, 1Qの損失も$50Mほどです
ASTRは現在キャッシュなどで$200Mほど持っています
このペースで行くとあっという間に現金が尽きてしまうことがすぐわかります
それに追い討ちをかけるのが3の状況です
現在同社は戦略レベルからのやり直しを図っており
小型ロケットの細かい打ち上げは計画しておりません
より大型のロケットを打ち上げることを計画し
そのための設備更新やロケット設計により打ち上げは2023年に再開できるかはわからないと明言しています
つまり、直近ではロケット打ち上げで売上が立つ見込みがなく
ロケットエンジンの方だけで売上を計上していくことになります
ちなみに2Qでのエンジンの売り上げは$0.7Mです
赤字をとても補填できる状態ではありませんね
そのため資本支出削減や従業員増加の抑制を2022年後半に取り組み
なんとか延命をしようとしているのが今の状態だと考えられます
$1Mの株売り出しもその活動の一つですね
市場に株が出回ったことで株価自体は上がりにくくなりました
多くの人が、経営者であるChris Kempに失望していることかなと思います
彼の優秀そうな見た目や語り口から騙された人も多いでしょう
ただ、彼はもともとITエンジニアです
同社が何回もロケットの打ち上げで失敗しているのもわかるように
この分野ではまだITエンジニアがどうこう言えるほど成熟していない
(機械の方のエンジニアリングがしっかりしないといけない)
のかもしれません
上場廃止はいつか
これのようなさまざまなニュースが既に出ているように
今回の場合だとNasdaqで$1未満が30日以上続いた場合は上場廃止通告
そこから180日で改善がないと上場廃止
特別な事情があると上場廃止はさらに180日延期
といった感じです
$1以上の株価、といっても10日以上必要だとか
株価を上げるための株式併合(2株 -> 1株にして株価をあげること。Reverse Stock Split)は可能だとか
細かくは色々条件はあるのですが、とにかく$1のラインを遵守するのが大事です
また1日、30日、180日は営業日換算なので純粋に1ヶ月、半年とは計算できません
そのため計算上はまだまだ先です
ただ、その通告受けると上場企業としては大きなマイナスイメージなので
早めに株価を上げるか
そうでないなら自主的に(かっこいい理由つけて)上場を止める方がありそうです
Nasdaqから上場廃止宣告を受けた、あるいは上場廃止を余儀なくされた、だと
企業の恥ですからね
ちなみに上場廃止宣告はdeficiency notice といいまして
直訳すると欠陥通知です。結構悲惨な宣告ですね
これらを考えて、最短で10/15くらいがASTRの命日となるかもしれません
9月は相場が崩れやすく、特にSPACのようなグロース株に逆風のため
もしかすると一気にASTRも崩れてそのまま上場廃止、の可能性も少なからずあります
ある時期までは応援していた銘柄だったので残念ですが
クソ株マニアとして死にゆく企業がどのような行動を起こしていくかは見ておきます
しかし一年前の記事では、企業価値が高いと言われている、など書いてましたが
これほどまでダメダメ企業だとは思わなかったですね
SPACなんかで上場する企業に碌なものはない、とは言われておりますが
本当によく理解ができる一年でした
これからもさまざまな企業を見極めていきたいです