Adobeが2022年度第4四半期決算(9~11月期)を発表していました
ティッカーシンボルはADBEです
拡張子pdfを開発した会社として知られています
Adobe Acrobatのような文章編集ソフト
絵に関わるものなら誰しも使っているIllustrator
写真に関わるものなら誰しも使っているPhotoshop
など昔からこの分野で覇権を握っていますね
AIも積極的に頭脳として組み込み
よりソフトを使いやすく、便利にしています
最近は動画編集としてPremiereも有名です
販売形態に関して、昔はライセンス買い切りでしたが
サブスクリプションに大きくカジを切り、値上げに次ぐ値上げでユーザーを恐れさせてきた企業になります
アドビ税とも言われておりクリエイターに大きなダメージを与え続けています
しかし最近はパクリで廉価・無料のソフトも多く出てきており
それにより殿様商売が出来なくなっている企業です
サブスクは儲かると言った神話を自ら作り、そして自ら失敗している状態です
今後どう軌道修正できるかが注目されていました
決算結果はだめ
公式発表はこちらから
2023Q3 | 結果 | 予想 | 評価 |
EPS | $3.6 | $3.5 | ⭕️ |
売上高 | $4.525B | $4.53B | ❌ |
売上高前年同期比(YoY): +10%
EPS(一株あたり利益)は昔からかなり高いのが特徴です
昔からSubscription分野で稼ぎを広げてきた会社でして
上手く稼げる仕組みを持っている印象です
他のSaaS企業は今回の決算でたいていボコボコでして
その言い訳として
ソフトウェアへの支出減速だとか、販売サイクル長期化だとか
よく述べられてましたが
本企業ではそのようなことは聞こえませんでした
この点で老舗SaaS企業の意地が見えてきそうです
買収したFigmaについてはまだ欧米での規制上での審査中のことです
来年には買収完了になる見込みです
Figmaはウェブサイトやアプリのデザインを簡単に行えるデザインツールですね
Creative Cloudが好調でして
新規ARRは$453M、売上は$2.68B
YoY + 13%でした
Photoshop、Illustrator、Premiere Pro、Acrobatのようなソフト需要が伸びたと述べられてました
また、Adobe Expressというソフトがありまして
これはいわゆるローコードツールのようなもので
デザインに詳しくない人でも直感的にデザインできるプラットフォームです
このソフトは世に出て一年で、今まで無料だったのですが有料化するということで
コールでもツッコミがはいっていました
影響はあるのか、という質問でして、ユーザー数は減るのでは?の意図だったと思うのですが
それには答えてませんでした笑
ただ、Expressを踏み台にしてイラストレータのような
他のソフトウェアにユーザーが移っていくことを期待していると述べていました
また、ガイダンスは息切れ感が出ていました
Q1ガイダンス
EPS $3.65~$3.70 VS 予想$3.65 ❌
売上 $4.60B~4.64B VS 予想$4.64B ❌
FY23ガイダンス
EPS $15.15~$15.45 VS 予想$15.21 ❌
売上 $19.1B~19.3B VS 予想19.42B ❌
ただ、今後の見通しに対しても悲観的というわけではなく
ADOBEという会社が持っている多様性をもってして
大きく減速することなく難しい状況に対応できる自信を述べてました
株価は上昇
この決算で+3%程度の上昇となりました
ここ数日でダウ系や全体的に米国株が下がっているのに対し
上昇できるのは素晴らしいことです
VTIは以下でしたからね
米国株全体の流れに対して逆行していることがよくわかります
市場は好感したという感じですね
なおADBE自体は最高値からは-50%を超えています
これはハイテク銘柄の宿命ですね
今後利上げは一服して金利が高い状態が続くと思いますが
その時にどういった株価の動きになるかが注目です
ハイテク企業の中では光がある
基本的に、ハイテク企業は今回の決算でボロボロで
次の見通しも悪く、それらをマクロ経済のせいにしていることが多かったです
ただADBEという企業はそれらと一線を画しており
今後もB2B, B2Cに対して上手くやれる自信がにじみ出ている企業、といった印象を
今回のコールにて覚えました
その点ではハイテク企業の中で、2023年でも上手く動ける企業だと考えます
ただ、あくまでハイテク企業の中であえて買うなら買いたいといった意味です
もしハイテク株を積極的に買いたいのではなければ
別に買う必要がないのではと思っています
今後不景気が確定路線だとしますと
企業も、個人も財布の紐が固くなってきます
このようなADBEの高いソフトを使わなくても
廉価なものが他に転がっていることを考えると
もしかすると、ユーザーが離れていく可能性だってあります
このリスクを考えると、今好き好んで買うものではないと思います
米国が不景気になってドル安になってきた時に
どこが輝くのか、もっと新しい研究対象を見つけていきたいですね