台湾セミコンダクターが2021年度第3四半期決算を発表していました
ティッカーシンボルは$TSM(ADR*)です
台湾の市場だとTSMCでトレードされています
半導体の受託製造を行っている台湾の企業です
*ADR... 米国外に上場している企業だけど米国でも取引できる仕組みのこと
例えばロイヤルダッチシェルもアムステルダムに上場していますが
同じように米国内でも$RDSで取引できます
半導体の製造に特化し高い技術を持った企業であり
他のファブレス企業、例えば$NVDA, $AMD、また$AAPL, $QCOM等に対し
半導体を製造し納入しています
世界の顧客と関係を築きながら
技術レベルで高い面を有していると言った面で
半導体製造のなかで唯一無二の企業です
最近は日本に工場を建てるということでニュースになっていました
ついに日本の安価な労働力が買い叩かれる時代になってきましたね
20年前までは台湾の労働力を求めて日本が工場を建てていたと思いますが
いつの間にか立場が逆転しています
2024年に熊本で製造開始で、回路線幅22~28nmのものや
今不足と話題になっている車載半導体を中心に製造の予定とのことです
要するに、最先端ではない古い技術の向上ですね
一方で中国との対立が大きくなっている台湾という地政学的リスクもあり
盲目的に投資はできない企業です
非常に良い企業ですが、中国リスクと隣り合わせですね
決算結果は問題ない
細かい結果はこちらからも確認できます
2021Q3 | 結果 | 予想 | 評価 |
EPS | $1.08 | $1.04 | ⭕️ |
売上高 | $14.88B | $14.83B | ⭕️ |
売上高前年同期比 +16%
売上高前期比 +11%
売上高は過去最高だった前期をさらに大きく上回っています
また5nm,7nmの売り上げ比重が半分以上になっていました
これらはスマホに使われる半導体でして、TSMCが技術的に優位に立っている事業です
懸念されていた粗利率は51.3%でして
前年同期53.4%から減少しています
ですが予想50.3%よりは上でした。良い傾向だと思います
利益率の減少の理由として
台湾ドルの為替に関する箇所や5nm系の立ち上げにかかる費用などが挙げられていますね
一方で在庫が少し積み上がっていそうと言われています
スマホ・PCでの需要に陰りが見えていますので、今後の伸びが低下するかもしれないとのことでした
部品がサプライチェーンの乱れで不足した結果
需要も減っていったとのことです
TSMCはスマホの売上が全体の半分なので
スマホの伸びが減少すると、全体的にも大きく影響を受けます
iPhone13の減産が発表されていた中、
さらにスマホを作ることができなくなると
この5nm 7nmの在庫が過剰になる可能性もありますので要チェックです
TSMCが中心に稼いでいる5nm, 7nmは技術的優位性がかなり強いので
ダブつくことは少ないとは思いますが、ね
一方車載半導体に関してはTSMCは供給の割合は小さいため
自動車業界全体で考えると、以前厳しい状況が続いてそうです
次期ガイダンスは悪くない
第3四半期ガイダンスは以下です
売上高 $15.4~15.7B VS 予想$15.4B ⭕️
今季比 +4.5%
前年同期比 +22.6%
通期では+24%に上方修正しました
傾向としては良いですね
次回もスマホの絶好調シーズンが続きますので
そこでどれだけ稼げるかが注目になります
また、設備投資額も大きく上がる可能性があると述べられています
今後三年間で$100Bの投資をするかも、とも言っています
半導体の需要成長がさらに伸びたら投資額も引き上げるとのコメントです
これはかなり大きく出ていると思われます
半導体不足は2022年も続くのは確定路線なのですが
2023,2024年にはどうなっているかはまだ見通しが立ちません
その中でこの莫大な投資は博打かもしれないですね
(今更半導体が必要なくなることはないと思いますが、、)
株価は上昇
決算後大きく上昇してそこから売られましたが、全体で+2.6%ほどですね
半導体不足、サプライチェーンの乱れが言われ続けている中で
良い数字を出せたのは立派だという評価かなと
他半導体銘柄にも好影響
$NVDAはこれを受けて大きく上がりました
そういえばNVDIAは株式分割を行っていますね
$SOXLも同様に爆上がりしました
こちらは半導体インデックスに3倍で動くETFです
特に$NVDAも良い決算を出してくれそうです
(ただ、好決算の後に売られることが多いので決算前に買うのは注意です)
強い企業は生き残れる
TSMCは最先端の技術を有する数少ない企業です
特に5-7nm半導体は大きな技術的優位性があります
それにより、この技術がコモディティー化して在庫が積み上がることは数ないだろうと言った見通しが出ています
つまり、TSMCしかつくれなのだから、TSMCが在庫のボトルネックになることはあっても
TSMCが作った分が売れなくなる可能性は低いということです
また、困っても価格に転嫁できると述べていました
これはインフレがインフレを呼ぶ例に他なりません
TSMCが値段を上げたらそれを使っているiPhoneも値段を上げるでしょう
このように物価はどんどん上がっていくのです
このスパイラルをどう捌くのか米国に注目しているのですが
どうもまだ動きはなさそうですね
また新規失業保険加入はコロナ以降初めて30万人を割りました
世界はコロナの後を見ていそうです
ジャブジャブの金融緩和の先、
物価の上昇、インフレーションなどが次の課題でしょうか
好企業は好決算を出せる、これはわかったので
今シーズンの決算は
良い企業とそうでない企業を見極められる良い機会になりそうですね