SPYDが見事な復活をしております
正式な名称は"SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF"ですね
SPDRはステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズといった会社が提供するブランド名です
ホテルで例えるとマリオットが提供するリッツ・カールトンのようなものです
"スパイダー"とみんな呼びますね
S&P 500 はみんな知っている米国株の代表500銘柄
米国市場時価総額の8割を占めている指標です
High Dividend は高配当の意味なので
要するにS&P500の中から高配当の銘柄だけを集めたETFですよ、ということです
SPYDはその500銘柄から高配当銘柄上位約80を摘んでいます。そのため中小企業が多いです
他の高配当ETFですと例えばHDVとかは強固な財務基盤や良い業績といった選定基準を導入していますが
このSPYDにはそれがありません
企業の財務基盤なんてなんでもいいから高配当だ!といったスタンスで企業を集めている銘柄ですね
一般的に高配当なら攻めのSPYD 守りのHDVといったイメージです
株価は最高値を更新
SPYDの株価をまず見てみましょう
コロナショックで大きく凹み
そして6月に一旦はじけて (この理由は米国で第一波が過ぎて規制を緩和したからですが)
また暫く地を這っている時期が続きました
それがコロナワクチン承認、そしてワクチン供給増加・死亡者数の減少によって大きく株価が復活しました
去年の6月以降、上がるGAFAMやハイパーグロースを尻目に
一向に上がらない株価もあり、長らくオワコン扱いされており
投資家から忌み嫌われていたといっても過言では無い存在ですが
ここまで戻ると嬉しくもありますね
(買い増しがしにくくなるといった側面もありますが)
なお経費率*は0.07%ということで米国株ETFの中ではかなり低い水準です
なので経費率に対する株価の影響というのは気にしなくて良さそうですね
(*経費率: ETFを買った場合、会社がETFを運用するための経費を我々は払わないといけません。
でもこれは会社から請求されるわけではありません。経費率を割り引いて株価に反映されるのです。
ので普段我々投資家がETFの経費を気にすることはありません。株価が右肩上がりのETF、例えばVTIは経費率を割引いても株価が右肩上がりになっているということです。
一方で3倍ブルとか、特殊なETFは経費率を注視した方が良いです。とにかく5年くらいのスパンでの株価を見てましょう。そこで下がっているようだと経費率に対しETF本来の価値が負けてしまっている可能性があります)
直近の配当利回りは異次元の6%超え
高配当銘柄は配当も当然確認しないといけません
直近の配当は1株あたり $0.636 です
いま1株当たり$40.89なので計算しますと配当率は1.55%です
1年で4回配当がもらえますので年間で見ますと配当利回りは6.2%となります
これはかなり大きい数字ですね
一般的に高配当と知られる銘柄も4~5%くらいなので
6%超えとなるのは驚きの一言です
ただこれは今現在の配当を元にした計算なので
当然配当が下がれば一気に配当利回りも下がる可能性があることを覚えておきましょう
(SPYDは下げる時は一気に配当を下げます。コロナ下の6月では$0.366です。今の6割くらいですね)
まあ株価が上がると配当も上がることが多いので、今の調子で行けば嬉しい限りです。
つまり今は明るいシナリオが多いですね
逆にコロナ下の時では株価下落、からの減配といったダブルパンチを喰らってしまったのですが
構成比率を再確認
ETFは構成比率も見ていくことでより理解が深まります
2021/5/4現在構成比率上位は以下のようになっております
銘柄名 | Ticker | 組入比率 | 業種 |
Seagate Technology PLC | STX | 1.587423 | 情報技術 |
Hanesbrands Inc. | HBI | 1.485638 | 一般消費財・サービス |
Regency Centers Corporation | REG | 1.455090 | 不動産 |
Fifth Third Bancorp | FITB | 1.438000 | 金融 |
Omnicom Group Inc | OMC | 1.437584 | コミュニケーション・サービス |
Interpublic Group of Companies Inc. | IPG | 1.425345 | コミュニケーション・サービス |
Iron Mountain Inc. | IRM | 1.423659 | 不動産 |
U.S. Bancorp | USB | 1.420936 | 金融 |
People's United Financial Inc. | PBCT | 1.416913 | 金融 |
Valero Energy Corporation | VLO | 1.413801 | エネルギー |
Invesco Ltd. | IVZ | 1.412274 | 金融 |
Hewlett Packard Enterprise Co. | HPE | 1.407348 | 情報技術 |
Kraft Heinz Company | KHC | 1.384082 | 生活必需品 |
Lincoln National Corporation | LNC | 1.371938 | 金融 |
Federal Realty Investment Trust | FRT | 1.367493 | 不動産 |
Simon Property Group Inc. | SPG | 1.366845 | 不動産 |
Kimco Realty Corporation | KIM | 1.361321 | 不動産 |
MetLife Inc. | MET | 1.359709 | 金融 |
かなり馴染みが薄い企業が多いのでは無いでしょうか
有名なのはヒューレットパッカードやサイモンプロパティーグループですが
それでも米国の代表!といったような企業では無いです
もう少し下の比率(といっても1~1.2%とかなのですが)ですと以下のように馴染みがある高配当企業が並びます
Exxon Mobil Corporation | XOM | 1.341952 | エネルギー |
American International Group Inc. | AIG | 1.298611 | 金融 |
Chevron Corporation | CVX | 1.243961 | エネルギー |
Dow Inc. | DOW | 1.240026 | 素材 |
Altria Group Inc | MO | 1.230076 | 生活必需品 |
Duke Energy Corporation | DUK | 1.201828 | 公益事業 |
AT&T Inc. | T | 1.191759 | コミュニケーション・サービス |
Southern Company | SO | 1.187854 | 公益事業 |
Pfizer Inc. | PFE | 1.176942 | ヘルスケア |
AbbVie Inc. | ABBV | 1.106357 | ヘルスケア |
Gilead Sciences Inc. | GILD | 1.055968 | ヘルスケア |
これらはHDVの方でも構成銘柄になっているものも多いですね
セクターとしましては
金融・通信・ヘルスケア・エネルギーなどが多いです
高配当が多いセクターですね。
潰れることも少ないけど急成長することも少ない企業が多い場所です
コロナ下から今までのパフォーマンスはVTIと同等だった
高配当ETFとインデックスETFどちらが良いのか、といった論争は
個人の収入や生活にもよるので正解がないのですが
一応パフォーマンスを天下のVTIと比べてみましょう
VTIは2020/3/20に$115.19でした。 いま5/5現在 $215.81です
SPYD は2020/3/20に$22.33でした。いま5/5現在$40.89です
ざっくり計算をしてみましょう
今3/20に250万円でETFをそれぞれ購入したとします
それぞれ5/5まで伸び率は
VTIで1.87倍
SPYDで1.83倍なので
評価額は
VTIで468万円
SPYDで457万円です
またSPYDの直近1年の配当は1株あたり$1.873です
250万円だと当時1152株買えていたことになりますので
配当は大体23.5万円(!!)になります
(増配があるためかなり利回りが高くなります)
一方VTIの直近1年の配当は1株あたり$2.8です
250万円だと当時223株買えていたことになりますので
配当は大体6.8万円です
合計します
VTI: 468 + 6.8 = 475万円
SPYD: 457+23.5 = 480万円
実際は配当の税金などあり、もう少しSPYDが下がると思われるので
天下のVTIとほぼ互角といった結論になりました
ほぼ互角だったらキャッシュが早く手元に来る高配当銘柄のほうがお得ですかね
正直この結果には驚いております
散々SPYDが貶されて批判されているところを見てきましたが
今となればほぼ互角だったとは、、改めて自分の力で調べてみる重要性を知りました
なお、この結果は今だから互角になっただけで
先月、先々月にやってみたらまた違う(VTIが勝っている)結果が出たと思われます
来月にやったらSPYDがさらに株価を伸ばしている可能性もあります
最近の高配当銘柄の株価順調の風潮による賜物ですね
また高配当銘柄は売ってしまうと最後配当がもらえなくなってしまうため
このような比較がナンセンスと言われればそこまでかもしれません
あくまで参考情報の一つです
なお、この結果を受けても自分の投資戦略としては今までと変わらず
VTIを買い増ししつつ
大きく下がったところでSPYDなどを引き続き買っていこうと考えております
長い目でみてこれからも投資をしていけたらなと思っています